格差の意識
一般に、わたしたちがなにかを比較することによって行動しようとするとき、その一つの現れ方は、「比較によって自覚される苦痛」が心理的衝迫となって社会的上昇運動をひきおこすことです。
この上昇意欲(アスピレーション)は、なんらかの意味で、上下、優劣、遅進といった落差の認知を前提としています。
いうまでもなく、落差の認知を可能にするのは努力をすれば社会的に上昇できるという期待がもてることと、自他を比較できる情報が入手できることです。
自己が「下」「劣」ないし「遅」であれば、自己をそこまでひき上げるべき比較対象としての他者は「上」「優」ないし「進」です。
ここから生まれる自己卑下と他者羨望という屈折した心理こそ上昇運動を触発する契機となります。
アスピレーションとは、もともと「上を見る」ことです。
「所貧乏」意識は、居所の格づけであり、上等・一級の先進地を他所に描き、それへのルサンチマン・・・
つまり嫉妬と怨恨の感情に支えられています。
描かれた「あこがれ」の対象の諸特性を自分ないし自所にとり入れることによって、つまり自らが先進地並み、世間並みになることによって心理的には安堵します。